ある日のレファレンス    

4月30日  大学生くらいの女の子が「大正時代のレモンについて探している」とカウンターへ来る。
        どうして、そのようなことが知りたいのかは疑問であるけれど、とにかくレモンが大正時代に
        どのように存在していたのか知りたいそうだ。
        大正時代、レモンと聞くと梶井基次郎の『檸檬』がとっさに思い浮かぶ(単純)、主人公がレモンを
        爆弾に見立てて丸善に置いてくるくらいなのだから、レモンは大正時代すでに、庶民が手に入れられる
        果物として存在はしていたのだろう。
        『近代日本食物史』の大正時代の果物のページなど、383辺りの本を見てもらうが載っていない。
        そこで、ベテラン職員が「大正時代の辞典から見たらどうやろう。それに載っていたらそれが、
        大正時代のレモンではないか」と出してくれたいくつの大正時代に出版された数冊の本が、ビンゴ!
        利用者もカウンター職員もしばし「おおーっ!」と興奮したのでした。
        それにしても、これらの本は面白い!利用者が複写を済ませて返してくれたその本を忙しいカウンター
        の合間に見ていたら、なんとも乙女心をくすぐるような文章でいっぱいなのだ。
        著者の死後50年以上経っている2冊をご紹介します。(画像をクリックするとPDFファイルにリンク)

『日本家庭百科事彙 下』よりレモンの項
芳賀矢一 編纂
富山房 1912

・其の搾汁は(中略)また、レモナーデとす。
・また香油、石鹸(シャボン)の如き化粧品の製作上、
 用途極めて廣し。
・有名なる産出地は、伊太利の南部及びシチリア島 
 なり


「レモナーデ」、「ジャボン」という言葉の響きなんともよい。
『最新果物の調理と食べ方』より果物調理をなす時の心得
手塚かね子 著
一元社 1933


・其のまま匙で掬って食べます方がよろしいのであります。
・水気を拭かないで宜しい。


人物レファレンス辞典によると、著者の手塚かね子さんは、大正から昭和にかけて活躍した西洋料理の権威者で、日本女子大家政科の基礎を築いたそうです。
こんな心得には、思わず「ハイ、先生!」と言いそう。
『最新果物の調理と食べ方』よりバナナの調理の項
手塚かね子 著
一元社 1933


・珈琲ジエリー
・バナナと苺のジエリー
・磯巻バナナ


ジエリーや、ジェラティンなどの名前がかわいい!
それにしても磯巻バナナはおいしいのかな?