ある日のレファレンス    


6月5日  男の子を連れた30代前半くらいのお母さんの要求により、数冊ピックアップした児童書を見てもらっている時に、
       
       『私が小さい頃に読んだ本をずっと探しているのですが探してもらえませんか?、タイトルなどを覚えていないのです。』
       
       というので、 「どんな内容か覚えておられますか?」と聞くと、

       『かぎっ子が家に帰ってきた後に、見知らぬおばあさんが来てお料理を作ってくれるという内容だったんですが』

       「大きさはどうですか?絵本のような大きさでしたか?」

       『いいえ、そんなに大きくなくて、絵本のように薄くはなくて、黒っぽい表紙だったのです。学校の図書室で読んだのですが』
 
       ここで、黒っぽい表紙に、このお母さんの年代の学校図書室で持っていそうな本で、おばあさんが出てくるというと、

       ひょっとしてと思い、「かぎばあさんのシリーズではないしょうか」と聞くと、

       『いえ、「○○ばあさん」とはタイトルに入っていなかったと思います』と言われた。

       『もうひとつ、最近「ちびくろさんぼ」を買ったのですが、私が小さい頃に見たものと絵が違うような気がして』

       と言うので、書庫へ行き、『かぎばあさん』のシリーズから、一番最初に出版されたようなタイトルの『ふしぎなかぎばあさん』を

       見てみるとお母さんが言われているストーリーと酷似している!この本と数種類所蔵している『ちびくろさんぼ』を

       出してきて見てもらう。すると、『ふしぎなかぎばあさん』の表紙を見て、すぐに、

       『これです!これです!わぁー、借りて帰ろう』と喜ばれているお母さんに、男の子が『何?その本?』と言うと、
  
       『これねぇ、お母さんが小さい時に読んでいた本やで』

       「ちびくろさんぼ」については、5種類くらい絵の違うものを持ってきたけれど、ピンとくる本が無かったよう。
 
       それでも、一番よく流通していた岩波版のちびくろさんぼを見て、『これが(復刊された本の)もとの絵本ですか』

       「ええ、でも、復刊されたものには1話目しか収録されていないんですよ。」と2話目を見せると、

       『へえー』と感心されて、『これも借りて読んでみます』と帰られた。

       ちびくろさんぼの復刻版(瑞雲舎)と岩波のちびくろさんぼとの違いは、偶然に最近新聞記事で読んで

       いたことが役立って良かった、かぎばあさんにも再会させてあげることが出来て良かった、と思ったレファレンスでした。

ふしぎなかぎばあさん
岡本 颯子 / 手島 悠介 / 手島 悠介作
岩崎書店 (1978)
ちびくろ・さんぼ
光吉 夏弥 / Bannerman Helen / Dobias Frank
瑞雲舎 (2005.4)
ちびくろ・さんぼ
光吉 夏弥 / Bannerman Helen / Dobias Frank
岩波書店 (1979)


      過去のレファレンス     2005年4月30日